ウコンは二日酔いに効く

二日酔いは主に飲みすぎ、すなわち自身のアルコール分解能力(正確には、アセトアルデヒドの代謝能力)を超えた量の酒を飲むことで起きる。

アセトアルデヒドの代謝酵素であるアセトアルデヒド脱水素酵素は、人種あるいは個人の遺伝的体質によりその代謝能力に差がある。

日本人を含むモンゴロイドのほぼ半数はアセトアルデヒド脱水素酵素の働きが弱い「低活性型」か、全く働かない「失活型」である、そのためモンゴロイドには酒に弱く二日酔いになりやすいタイプが多く、全く酒を飲めないタイプ(いわゆる「下戸」)も存在する。それに対し白人・黒人はこの酵素がよく働く「活性型」であり、酒に強く二日酔いにもなりにくい体質の者が多い。なお人類のアセトアルデヒド脱水素酵素のタイプは元々「活性型」が基本タイプであり、「低活性型」及び「失活型」は突然変異によって生まれたハプロタイプである。

筑波大学の原田勝二による研究は、日本においては九州地方と東北地方に「酒豪遺伝子」が多い(すなわち二日酔いになりにくい「活性型」が多い)という結果を示している。

肉体的には脱水症状を起こしている為、大量に水分を補給することがまず第一である。さらに肝臓でのアルコール分解には糖分が必要であり、糖分をとることも有効となる。水分補給時、ただの水やお茶よりは、スポーツドリンクの方が両方を同時に摂取できるので望ましい。ただし胃炎を起こしている場合、胃への刺激となるため冷たい飲み物は好ましくない。なお、この2点は前夜就寝前に行っておくことである程度二日酔いの予防策ともなるものである。もっともそれをやりおおせるだけの理性が残っている程度の飲酒量なら二日酔いにはなりにくいし、先のエイミスの言葉を借りれば「君はまだまだ飲み足りない」ということになる。

睡眠が効果的な対処法である。他にも風呂やサウナに入って汗として有害物質を出してしまうという方法を取る人もいるが、心臓の弱い人には勧められない上に、睡眠と比べて血中アルコールの減少速度は遅いというデータもある。血流が全身に拡散してしまい、肝臓に血液が集まらないためとされる。また、「迎え酒」と称してまた酒を飲み症状を緩和させるということが日本のみならず各国で行われていたが、単にアルコールで不快感を麻痺させるだけであり、肉体への負担が大きいため行うべきではない(主にアルコール依存症の罹患者に多い行為である点に注意)。

胃炎を起こしている場合は、適切な胃腸薬の摂取が有効である。

アセトアルデヒドの分解をわざと妨げ、少しでも飲酒すると強制的に不快感を引き起こす薬品(シアナミド、ジスルフィラム等)は嫌酒薬としてアルコール依存症の治療に使われている。ヒトヨタケをアルコールと同時に摂取すると悪酔いするのも同様のメカニズムである。

しかしながら最近の研究では、二日酔いは血中のアセトアルデヒド濃度が下がった後におこるためアセトアルデヒドが直接の原因ではないのではないかという説もある。アルコールがドーパミンニューロンに作用すること、血中のカテコールアミン量が上昇することなどが要因の一つではないかということで研究が進められている。

いみじくもロバート・キャパが「神はこの世を六日間で創り給うた。そして第七日目には二日酔いを与え給うた。」との言葉を残したように、二日酔いは洋の東西を問わず人類を古くから悩ませてきた。現代医学が発達する以前から、二日酔いに対処する民間療法は各地に伝わっている。

民間療法の例
江戸時代には「懐中汁粉」(餡を最中の中に入れたもので、湯に溶かして即席汁粉にする)などを食べておくと良いといった文献がある。
シジミの味噌汁

ウコン

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